ふるさと納税を始めようと思ったとき、「ワンストップ特例を使えば確定申告をしなくていい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ワンストップ特例制度は、一定の条件を満たす人が、ふるさと納税のためだけに確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる制度です。
会社員など確定申告に慣れていない方には便利ですが、誰でも利用できるわけではありません。
特に大切なのが、「もともと確定申告をする必要がないこと」と「1年間の寄付先が5自治体以内であること」です。
この記事では、ワンストップ特例を利用できる条件から申請方法、必要書類、オンライン申請、期限、申請後に注意したいケースまで、初めての方にも分かりやすく解説します。
ふるさと納税のワンストップ特例とは?
ふるさと納税で寄附金控除を受ける場合、本来は確定申告で手続きを行います。
ただ、確定申告をする必要がない給与所得者などが、ふるさと納税のためだけに毎年確定申告をするのは負担ですよね。
そこで設けられているのが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。
条件を満たして寄付先の自治体へ申請すれば、確定申告をしなくてもふるさと納税による寄附金控除を受けられます。
ただし、ふるさと納税を申し込んだだけで自動的にワンストップ特例が適用されるわけではありません。
寄付したあとに、期限までにワンストップ特例の申請を済ませる必要があります。
ワンストップ特例を利用できる人の条件
ワンストップ特例を利用するには、主に次の2つの条件を確認します。
- ふるさと納税をした年について、確定申告をする必要がない
- 1年間にふるさと納税をした自治体が5団体以内である
「会社員なら必ず利用できる」という制度ではないので、自分が条件に当てはまるか確認しておきましょう。
確定申告をする必要がない給与所得者など
会社員で勤務先の年末調整によって税金の手続きが完了し、ほかに確定申告が必要となる理由がなければ、ワンストップ特例を利用できる可能性があります。
反対に、もともと確定申告が必要な人は、ワンストップ特例だけでふるさと納税の手続きを完了することはできません。
また、最初は確定申告をする予定がなくても、あとから医療費控除などを受けるために確定申告をすることになれば扱いが変わります。
「会社員だから大丈夫」ではなく、その年に確定申告をするかどうかまで確認することが大切です。
寄付先が5自治体以内であること
もう一つ重要なのが、1年間のふるさと納税先が5自治体以内という条件です。
ここで間違えやすいのが、「ふるさと納税を5回までしかできない」という意味ではないことです。
数えるのは寄付回数ではなく、寄付した自治体の数です。
「5自治体以内」と「寄付5回まで」は違う
たとえば、2026年中に次のような寄付をしたとします。
| 寄付先 | 寄付回数 |
|---|---|
| A市 | 3回 |
| B町 | 1回 |
| C市 | 2回 |
この場合、寄付は合計6回ですが、寄付先はA市・B町・C市の3自治体です。
そのため、ほかの条件も満たしていれば、自治体数についてはワンストップ特例の範囲内です。
一方、6つの異なる自治体へ1回ずつ寄付した場合は、寄付回数は6回、自治体数も6自治体になります。この場合は5自治体以内という条件を満たしません。
年末に追加で返礼品を選ぶときは、寄付金額だけでなく「今年は何自治体に寄付したか」も確認しておきましょう。
同じ自治体へ複数回寄付した場合の申請は?
同じ自治体へ何度寄付しても、5自治体以内かどうかを数えるときは1自治体です。
ただし、自治体数の数え方とワンストップ特例の申請手続きは別です。
同じ自治体へ複数回寄付した場合、寄付ごとに申請が必要となる場合があります。申請方法は寄付先自治体の案内を確認してください。

ワンストップ特例の申請方法は?
ワンストップ特例の申請方法は、大きく分けて書類を郵送する方法とオンラインで申請する方法があります。
どちらを利用できるかは寄付先自治体の対応状況によって異なります。
申請書を郵送する方法
紙で申請する場合は、基本的に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、本人確認に必要な書類と一緒に寄付先自治体へ提出します。
申請書は自治体から送付される場合がありますが、自分で自治体のWebサイトなどからダウンロードできる場合もあります。
特に年末ぎりぎりに寄付した場合は、自治体から申請書が届くのを待っていると期限が迫ってしまうことがあります。
年末の寄付では、寄付後すぐに自治体の案内を確認しておくと安心です。
ワンストップ特例の必要書類
郵送で申請する場合は、申請書に加えて個人番号の確認と本人確認のための書類が必要です。
マイナンバーカードを持っている場合は、一般的にカードの表面・裏面の写しを添付する方法があります。
マイナンバーカードを持っていない場合は、個人番号が確認できる書類と本人確認書類を組み合わせて提出します。
利用できる書類については変更されることもあるため、実際に申請するときは寄付先自治体が案内している最新の必要書類を確認しましょう。
ワンストップ特例はオンラインでも申請できる
自治体によっては、ワンストップ特例をオンラインで申請できます。
対応しているサービスを利用すれば、紙の申請書を印刷して郵送しなくても、スマートフォンなどから手続きを完了できる場合があります。
マイナンバーカードを利用したオンライン申請に対応している自治体もあり、複数の自治体へ寄付したときの手続き負担を減らせるのがメリットです。
ただし、すべての自治体で同じオンライン申請方法が利用できるわけではありません。
寄付した自治体の案内から、オンライン申請に対応しているか、どのサービスを利用するのかを確認してください。
ワンストップ特例の申請期限はいつまで?
ワンストップ特例の申請期限は、ふるさと納税をした翌年の1月10日です。
2026年中に行ったふるさと納税なら、2027年1月10日が申請期限になります。
紙で提出する場合は、一般にこの日までの必着として案内されています。
12月末にふるさと納税をすると、寄付から申請期限までほとんど時間がありません。
「返礼品が届いてから申請しよう」と待つ必要はないので、年末に寄付した場合は早めに手続きを進めましょう。
複数の自治体へ寄付した場合はそれぞれに申請する
ワンストップ特例は、どこか1つの自治体へ申請すればすべての寄付がまとめて手続きされる制度ではありません。
複数の自治体へふるさと納税をした場合は、それぞれの寄付先に対して必要な申請を行います。
たとえばA市、B町、C市へ寄付したなら、それぞれの自治体について申請漏れがないか確認しましょう。
オンライン申請を利用する場合も、申請済みになっている寄付を確認しておくと安心です。
引っ越しや氏名変更をした場合は変更手続きに注意
ワンストップ特例を申請したあとに引っ越したり、結婚などで氏名が変わったりすることもありますよね。
申請後、寄付した翌年1月1日までに住所や氏名など申請内容に変更があった場合は、原則として「申告特例申請事項変更届出書」を寄付先自治体へ提出します。
変更届の期限も、寄付をした翌年の1月10日です。
複数の自治体へワンストップ特例を申請している場合は、変更が必要となる寄付先それぞれについて手続きを確認しましょう。
オンラインで変更手続きができる自治体もあります。

ワンストップ特例が無効・不適用になるのはどんなとき?
ワンストップ特例は、申請書を提出したら必ずそのまま適用されるわけではありません。
代表的なのが次のケースです。
- 1年間の寄付先が6自治体以上になった
- 医療費控除などのために確定申告をした
- もともと確定申告が必要な人だった
- 必要なワンストップ特例の申請が期限までに完了していない
- 申請後の住所・氏名などの変更について必要な手続きをしていない
特に注意したいのが、ワンストップ特例を申請したあとに確定申告をするケースです。
あとから確定申告することになったら?
たとえば、ワンストップ特例を申請したあとに「医療費が多かったので医療費控除を受けたい」と確定申告することになったとします。
この場合、提出済みのワンストップ特例申請は無効になります。
確定申告をするときは、ワンストップ特例を申請した寄付も含め、その年に行ったすべてのふるさと納税を寄附金控除の計算に含める必要があります。
「ワンストップ特例を申請した寄付は確定申告から除いていい」というわけではないので注意しましょう。
確定申告が必要になるケースや具体的な申告方法については、別の記事で詳しく解説します。
ワンストップ特例では所得税が振り込まれるわけではない
ワンストップ特例を利用したあと、「所得税の還付金が振り込まれない」と心配する方もいるかもしれません。
ワンストップ特例では確定申告をしないため、ふるさと納税による所得税の還付が別に振り込まれる仕組みではありません。
所得税から控除されるはずだった分も含めて、翌年度の個人住民税から控除されます。
そのため、ワンストップ特例を利用した場合は「還付金が振り込まれたか」ではなく、翌年度の住民税にきちんと反映されているかを確認することが大切です。
ワンストップ特例が住民税に反映されたか確認する方法
会社員であれば、勤務先などから受け取る住民税の決定通知書で確認できます。
ふるさと納税をした翌年度の通知書を受け取ったら、寄附金税額控除に関する記載を確認してみましょう。
たとえば2026年中にふるさと納税をしてワンストップ特例を利用した場合は、2027年度の住民税に反映されます。
ただし、通知書の表記や確認する欄は自治体などによって異なる場合があります。
「申請したから終わり」ではなく、翌年度に住民税への反映まで確認できれば安心です。
ワンストップ特例でよくある質問
会社員なら必ずワンストップ特例を使えますか?
いいえ。会社員でも、その年に確定申告をする必要がある場合などはワンストップ特例を利用できません。
「会社員かどうか」だけではなく、確定申告が必要かどうかと、寄付先が5自治体以内かを確認しましょう。
6回ふるさと納税をしたらワンストップ特例は使えませんか?
寄付回数だけでは決まりません。
同じ自治体へ複数回寄付しても、自治体数としては1自治体です。6回寄付していても、寄付先が5自治体以内なら自治体数の条件は満たします。
6自治体に寄付したら、6つ目だけ確定申告すればいいですか?
いいえ。寄付先が5自治体を超えてワンストップ特例を利用できなくなった場合は、ワンストップ特例を申請した分も含めて、その年のふるさと納税を確定申告に含める必要があります。
ワンストップ特例は年末調整で申請できますか?
会社の年末調整でワンストップ特例を申請するわけではありません。
ワンストップ特例は、寄付先自治体へ申請する制度です。
申請書が届かない場合はどうすればいいですか?
寄付先自治体のWebサイトから申請書をダウンロードできる場合があります。
特に年末は申請書の到着を待っていると1月10日の期限が近づくため、自治体の案内やオンライン申請の対応状況を早めに確認しましょう。
ワンストップ特例をオンラインで申請すれば郵送は不要ですか?
寄付先自治体が対応しているオンライン申請を正しく完了できれば、紙の申請書や確認書類の郵送が不要となる場合があります。
ただし、対応方法は自治体によって異なるため、利用する自治体の案内に従ってください。
ワンストップ特例の期限を過ぎたら控除を受けられませんか?
ワンストップ特例の期限に間に合わなかった場合でも、確定申告によって寄附金控除を受ける方法があります。
期限を過ぎたからといって、そのまま諦めず、確定申告の手続きを確認しましょう。
まとめ|ワンストップ特例は条件と申請期限を確認して利用しよう
ふるさと納税のワンストップ特例制度は、確定申告をする必要がない給与所得者などが、一定の条件を満たすことで確定申告をせずに寄附金控除を受けられる制度です。
特に覚えておきたいのは、寄付先が5自治体以内であることと、寄付した翌年1月10日までに必要な申請を行うことです。
5自治体以内という条件は寄付回数ではありません。同じ自治体へ複数回寄付しても、自治体数では1自治体として数えます。
また、ワンストップ特例を申請したあとに医療費控除などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請が無効になります。その場合は、ワンストップ特例を申請した分も含めて、その年のふるさと納税を確定申告に含めましょう。
紙の申請だけでなくオンライン申請に対応している自治体もあります。ふるさと納税をしたら後回しにせず、寄付先自治体の申請方法を確認して、期限までに手続きを済ませておくと安心です。
※本記事は2026年9月23日現在の制度をもとに作成しています。ワンストップ特例の申請方法やオンライン対応、必要書類などは自治体によって異なる場合があります。実際に申請する際は、寄付先自治体の最新案内をご確認ください。


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